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むちゅー②
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「まだキスはしてあげない」
「うぇっ……」
「まずはぁ……消毒から」
そう言って、右の口端に唇が押し当てられた。消毒とはそういう意味か。
ちゅっ、ちゅっと音を立てて吸い付くと、かぷっと甘噛みされる。
くすぐったくて、でも少しムズムズする。
「んぅ……やっ」
「まぁ〜だ」
甘噛みを繰り返しては吸われ、身体が熱くなる。
なんだ、これ。
物凄くもどかしい。
頭の中が甘く溶けて、一つの事しか考えられなくなる。
キスして欲しい。
「やだっ、も………腫れちゃうっ」
「そろそろ大丈夫かな……」
唇が離れ、銀色の糸が引かれる。唇を赤い舌で舐める仕草がエロくてもう限界になる。
胸が綾でいっぱいになって、キスして欲しいって叫んでる。
「あやっ……」
「ん?」
「っ、き、キス……して欲しぃ」
上半身をひねり、向かい合う形にする。唇を突き出してキスを強請る。
肩に捕まって少しだけ背伸びをする。あとちょっとで唇に届くのに身長ちょっと足りない。
綾が無言になって、もしかして引かれた?と不安になる。
「あ、や………?」
「はぁ……………自分から欲しがるとか可愛すぎでしょ」
「嫌、だった…?」
「全然。むしろ興奮した」
「興奮って」
「いっぱいキス、するんでしょ?」
あと少しの距離は綾が屈めばすぐ届いた。唇が触れて、じわじわと熱が侵食していく。
唇同士を合わせるだけなのに、どうしてこんなにも好きが溢れるのだろう。
好きが溢れすぎて、自分が壊れるのではないかと思ってしまう。
(どうしよ、ぼやけてきた……)
「んんっ、ふ……」
甘噛みされる度に吐息が漏れそう。唇を噛み、必死に堪える。
でもどうしよう、頭がぐらぐらする。
「っ……み、瑞貴?」
長時間湯船に浸かって逆上せてしまった。
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