アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
追いかけっこ
-
とりあえず、昼休み俺は灯架に会いに行くことにした。
そっちが来ないならこっちから出向いてやる。
授業終了のチャイムが鳴り、皆バラバラに席を立つ。
俺は灯架の席に向かい足を踏み出した。灯架は俺が近づいてくるとこちらに気づき、足早に席を立って走って教室を出た。
「っ……」
「ちょ、灯架!」
逃げる灯架を追いかける俺。まるで追いかけっこだ。
廊下を走ると、色んな人がこちらを見る。でも、今はそんなの構ってられないんだ。
自分の気持ちを伝えるって言った。伝えてくれたから、俺もちゃんとそれに答えたい。
階段を降りたり上ったり、走って追いかけては見失ったり。
普段から運動しないのが祟って身体があまり言うことを聞いてくれない。
必死に足を前に出して、目の前の灯架を追いかける。
灯架も流石に疲れてきたのか、少しスペースが落ちている。
「んで………っ」
「………?」
「なんでっ、追いかけてくるの……!?」
「お前、俺の返事っ、聞いてないだろ!」
「聞かなくたって、分かるよ!!」
「俺の言いたい事、全部分かる訳ないだろ!!」
「っ」
「俺は、ちゃんと自分の気持ち伝えてないっ!!だから聞けよ!!」
お前がちゃんと伝えてくれたように。俺もちゃんと答えたい。
このままモヤモヤした関係なんて、絶対に嫌だ。
三階の階段を上り、ついに屋上まで来た。
「はぁっ…はぁ………はぁ」
「はぁ……っ、捕まえ、た」
お互い息切れして、汗をかいた。俺は灯架の腕を掴み、逃げられないようにする。
灯架は俺の方を見て悲しそうな顔をしたが、また下を向いた。
「灯架、俺の気持ちを聞いて」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
67 / 227