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体育祭⑧
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体育祭、当日。
半袖半ズボンが基本なので傷はガーゼと包帯で隠した。
灯架は泣きながら心配してきたが走るには問題無いはず。
時間があるので、あまり食べられなかった朝ごはんをシートに座って食べる。
綾が作ってくれた特製おにぎりを少しずつ食べながら順番を待つ。
ふと、空を見上げると雲一無い晴天だった。
少し暑くて、汗が垂れてきそう。
もし、去年の俺だったら競技なんかやる気なくて、木の影のとこで本を読んでいただろう。
誰にも関わらず、かといって綾からは離れず。
でも、関係は友達で止まっていたと思う。
綾が気持ちを伝えてくれて、俺を待っていてくれたから今の自分がいる。
灯架も、人見知りの癖に話しかけたり俺を好きになってくれたりして友達になってくれた。
意外と、俺は支えられて生きてるんだなって思った。
二人がいたから、今の自分は変われてるんだと思った。
「瑞貴君〜、次だよ、行こ〜」
「分かった、ちょっと待って」
残りのおにぎりを口に放り込み、シートから腰を上げる。
だけど、膝を伸ばした時に少しよろけてしまう。
「瑞貴君……ほんとに大丈夫?」
「そんな泣きそうな声で言うなよ、大丈夫だって」
「ほんと、無理しないでね?俺も頑張ってコケないようにするから」
「そうだな、とりあえず走り切ろう」
『次は、二人三脚です。出場する生徒はスタート地点に集まってください』
アナウンスが入り、スタート地点に集まる。
俺達は一レース目だから早めに出る。
実行委員から渡されるバンドを貰い、足につける。外れないようキツめにつけた。
『一レース目の人、スタートラインに立ってください。
位置について、よーい』
パァン、と乾いた音が鳴った。その瞬間、俺達は足を踏み出したのだが。
「っ!?」
「うわっ……」
出だしから盛大に二人転倒した。
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