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パン食い競走話
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これは、坂秋瑞貴がパン食い競走に臨む話である。
後日談だと思ってくれ。
「瑞貴、ほんとにその足で出るの……?」
「そんな心配しなくても大丈夫だって。走って着替えて飛ぶだけだろ?」
借り物競争で事件が起きる前、俺はパン食い競走のレースに向かっていた。
包帯に巻かれた足は曲げづらいが、走れなくもない。
それに、いざと言う時は綾に頼ればいいのだから問題はない。
「う〜……心配するよ…」
「綾はゴール近くで待ってて。ゴールしたらもう俺立ってる気力ない気がする」
「分かった、おぶってく準備しとくね」
背伸びして頭を撫でてやると嬉しそうな顔をする。耳と尻尾が生えればほんとに犬だ。
俺の他の出場者は男女混合で皆張り切っていた。
俺はそこまでやる気は無いがとりあえず走りきることを目標にしよう。
『次は、パン食い競走です。
パン食いだけでなく、途中にある衣装に着替えてからパンをくわえなければなりません。
衣装は今日まで出場者に知らされておりません』
どんな衣装なんだろう。
男女混合って事は女物も混じってることが有り得るって事か。
(絶対やだ………女物着るなんて恥だろ)
男物でありますように。もし当たってもサイズが合わなくて着られませんように。
心の中で必死に祈る。
『それでは、一レース目の方はスタート地点に立ってください。
位置について、よーい』
始まったパン食い競走。
五レース目だからまだ時間はあるが、どんな衣装が出るのか見ていると。
まさかの、全部女物だった。
サイズも誰でも着れるように大きめらしく、誰一人として着れなかったなんて無かった。
まずい、これはやばい。
俺は絶対着たくない。見てる限りチャイナ服とかメイド服とか有り得ないだろ。
しかもカツラとかあるらしく、何人か男子はロングのカツラを被って走っていた。
(俺、大丈夫かな…………)
『五レース目の方は、スタート地点に立ってください』
とうとう自分の番が来てしまった。
こうなれば意地だ、恥を捨てきれないが着るしかない。
『位置について、よーい』
パァン、と音が鳴り響く。出だしは転ばなかったが意外と走るの辛い。
「ぐっ………」
でも、もう走ってしまったものは仕方がない。
人より少し遅れながら走り出す。
衣装が置いてある地点に辿り着き、置いてある箱を取る。
「なっ…………ま、マジかよ……」
そこには、俺が絶対着たくない衣装が入っていた。
しかもカツラ付きで。
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