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へし折った飴細工ep.7
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瞬きを一つ、二つ、三つとして、四つめに差し掛かったがそのまま目を閉じた。
くるくる回る四角い箱の中。電子レンジなんて、今まで何百回(あるいは何千回かもしれない)と使ってきた。しかし、使い慣れた自宅のそれと、目の前にあるそれは型も大きさも全く違って、なんだか珍しい。
ラップに包まれた玉ねぎは、多分きっと自分たちが回っていることを知らない。地球が回っているのか、それとも宇宙が地球を軸に回っているのか。 そんな論争が電子レンジの中の玉ねぎたちの間で繰り広げられているのかもしれない。
(これからこの電子レンジが「自宅」の電子レンジになるんだ)
ヒユウは玉ねぎの論争に頭半分意識を向けながらも、ぼんやりとそんなことを考えていた。
木馬は回るが、回る木馬はない。そして周りの草木や空が回るわけでもなし。木馬を回すものは別にいて、木馬は自分たちが回っているとも思わないし、回ろうとも思ってもいない。
ヒユウを取り巻く世界が変わった。しかし、変わっていったのは果たして世界か否か。そして、ヒユウを動かすのは一体誰か。
そんな事を考えることもなく、ヒユウは玉ねぎの争いを真剣に検討し始めていた。回りすぎた木馬は少し酔ったのかもしれない。
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