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僕が出た借り物競争が終わり、昼の部になった。昼からは、クラス対抗リレーと学年対抗リレーだけで、もう競技も終盤にかかっていた。
「直〜頑張れ〜」
高くて心地のいい声が耳に届く。唯君だ。
「唯、応援しとけよ〜」
そう言って直は唯君の髪をくしゃくしゃに撫でた。
(いいな…)
「もうやめてや〜!せっかくお姉ちゃんに髪の毛セットしてもらったのに!!」
そうやってプンと口を膨らました唯君を見て、直は
「1位とってくるから!そんなおこんなーって!」
と言ってご機嫌をとる。何故かそこには二人の世界が出来ていて、二人を邪魔する人は誰もいない。
『お似合い』
そんな言葉が浮かんで、到底僕には手が届きそうにないと感じると胸が痛くなった。
学年対抗リレーが始まった。
クラス対抗リレーで惜しくも2位だったので、直は残念がっていた。
学年対抗リレーで直はアンカーらしい。
もうこれで一位を取るしかない!!と直は気合いを入れていた。
一走者、二走者が走っていく。学年でまだ差は開かず、どっちつかずな状況が続いていた。
と、その時1年生がバトンミスをして、優勝争いは2年生と3年生になった。
ほとんど同時にアンカーにバトンが渡る。
(直っ!!!)
かっこいい。走るフォームが綺麗。あぁ、かっこいい。
直だ。僕が大好きな直だ。
「直〜〜行け〜頑張れ〜!」
僕は無我夢中で叫んだ。学年は一斉に盛り上がり、どちらも声援が校庭に鳴り響いた。
白のテープを切ったのは直だった。
(勝った…!)
3年生は、大いに盛り上がる。
直は唯君に手をふりつつ、招集されていった。
未だ興奮が治らない。
好き。
風をきるかのように走る直が好き。
無我夢中になって、前だけを見つめて。
何も迷いなどないといった顔で。
ただひたすら純粋に、純粋に直は走る。
応援できて良かった。
きっと、、、今日直と話していなかったら僕はリレーを見なかっただろう。
直を見たくない気持ちを優先させただろう。
だけど、やっぱり見れて良かった。
矛盾だらけで、複雑なのが恋心だなぁと思いながら僕は席に戻った。
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