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俺の目の前で体育のバスケが行われている。
俺は事故の後遺症で全力では走れない。
小走りができる程度。
全力で走れなくても日常生活に支障はないので、特に気にしていない。
だから体育がある時はいつも見学。
見学するぐらいなら帰らせてほしいと思う。
だけど見学しておかないと単位はもらえないので憂鬱な時間であるけど見学するしかない。
体育を見学しているのはもう一人いる。
さっき教室で声を掛けてくれた斎藤さん。
俺と同じ年齢で、身体が弱いらしく小学校からあまり学校に通えていないらしい。
いつも体育の時間は二人で見学している。
斎藤さんとは初対面で自己紹介した程度で、二人で見学しているといっても特に喋ることもないし、同じ年齢でも敬語で喋るぐらいの面識だ。
「…あの、橘くん…」
そんな斎藤さんが珍しく俺に声をかけてきた。
「はい、なんですか…?」
俺が振り向くと斎藤さんの頬は少し赤みかかっていて、なぜか涙目だった。
「…もしかして身体がしんどいですか…?もし身体がしんどいなら、俺が先生に言ってきますから斎藤さんは座っていて…、」
「違います…!」
斎藤さんは首を振ってきっぱりと言う。
だったらなぜ俺に声をかけてきたのだろう?
俺は首を傾げる。
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