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俺はゲーセンを出て、さっきまでいたベンチに目をやると雄哉の姿があった。
「雄哉…!あ…」
雄哉の隣には女の人がいた。
きっとナンパでもされているのかもしれない。
女の人は上目遣いで、雄哉に何か言って雄哉の腕に自分の腕を絡ませた。
雄哉はその女の人を無視してスマホを見続けている。
俺はもう見たくなくて、咄嗟に視線を下げた。
小さく息を吐いて、自然と回れ右をしてゲーセンに戻る。
急に自分の呼吸が少し荒くなっていくのがわかる。
過呼吸の前兆…。
だけど、そんなことは無視してゲーセンの中を歩く。
ふと足を止めたのは、大きなピンクのテディベアのクレーンゲームの前。
何となくピンクのテディベアが優くんを思い出させたから。
「よし…」
ピンクのテディベアは数回では取れないだろうし、
今は雄哉の元に行きたくない…。
今度は機械に500円玉を入れる。
500円玉で6回できるのでお得だしその分長くできる。
500円で取れなかったらまたお金を入れたらいい。
永遠に取れなければいいのに…。
それだけ雄哉の元に絶対に行きたくなかった。
しかしそんな俺の思いは裏切られる。
なんと6回目でピンクのテディベアを取れてしまったのだ。
また店員さんが鐘を鳴らしておめでとうございます!
と鐘を鳴らしてくれてピンクのテディベアを袋に入れてくれる。
俺はまた店員さんに小さく頭を下げた。
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