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「あれ…?」
俺のスマホは呼び出し音が鳴っているけど、
雄哉のスマホから着信を知らせる音楽は流れない。
『もしもし、翔か?』
「…勇輝くん!」
スマホから聞こえてきたのは勇輝くんの声。
どうやら間違って、勇輝くんにかけてしまったらしい。
雄哉の方を見ると絶句したような表情で、両手で顔を覆い隠した。
『ああ。スマホを買ってもらったんだな』
「…うん。本当だ。スマホだといつもの勇輝くんの声と少し違う…」
すると、勇輝くんがクスリと笑う。
『なんだ、かけてきたのは俺が初めてか?』
「ううん。でもスマホで初めて喋ったのは勇輝くんが初めて…」
『そうか。それは光栄だな。雄哉は今、どんな感じだ?』
そう聞かれて雄哉を見る。
「顔を上に向けて、顔を両手で隠してる」
勇輝くんはクスクスと笑い出す。
『どうせ雄哉がかけろ、と言って、間違えて俺にかけてきたんだろう?いい気味だ』
「どうしてわかるの…?」
『雄哉がバカだからだ』
勇輝くんの答えは単純明快で、だけど妙に納得してしまう。
『どうだ?スマホは?』
「まだ全然慣れてないけど…、」
『けど…?』
「勇輝くんの声がいつもと違うし耳元で聞こえて、なんだかドキドキする…」
うあぁぁぁーーーー!!!!と雄哉の叫び声が聞こえるけど無視だ。
『そうか。だったらいつでもかけてきていいぞ。俺はいつでも歓迎だ』
「ありがとう…。じゃあかけるね。あ、勇輝くん」
『なんだ?』
「逢引きの意味を何となくわかったよ…」
『ほう』
「雄哉に黙って会うことでしょ?」
『よくわかったな。正解!』
「でも雄哉の前で言うと逢引きにならないね…」
『そうだな。翔もスマホを持ったことだし…、』
「あ…!」
その時人影が近づいてきて、俺のスマホを取り上げて勝手に電話を切る。
「俺は翔と勇輝がイチャイチャするために、翔にスマホをあげたんじゃないのっっ!!」
俺の前にしゃがみ込み、俺の顔をのぞき込む。
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