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ステップアップside吉岡尋海
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話題のつかみ方なんて人と話すのが苦手な俺が知っているはずがなく。
何度も口を開いては慌てて閉じるのを繰り返していたら休み時間が何回か過ぎて行った。無念。
ただ見つめる作業を繰り返していると、いろいろなことが分かった。
まず本を読んでいる旭の横顔はとてもきれいだということだ。
二つ目は旭がとても綺麗ということ。結局顔がきれいなのは十分にわかった。
何の本読んでるんだろ?
旭が涼やかな顔で見つめる本が気になって仕方ない。
真剣なまなざしに吸い寄せられる。俺もああいう風に見つめられたらどれだけ嬉しくなるんだろう。気になると同時に羨ましくも感じる。本に嫉妬なんて本当に笑えない。
「なあ」
「何の本読んでんの?」
「………へ?」
気が付いたら声が出ていた。栓をされていたかのような重みがすっぽりとれる。何だ出るじゃないか俺の声。
旭は本の世界から俺に意識を向ける。見てほしかった人見に見据えられ、全身が熱くなった。痒くなってきて頬を引っ掻く。
旭の趣味とか俺の中で知りたいランキングナンバー3に入るんだけど。
もちろん本音は心の中にしまって。
旭の反応をただひたすら待った。とても長く感じた。
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