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ランチタイムside吉岡尋海
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「あっ味はどうかな?僕が作ったんだけど………」
旭が期待したような表情で俺を凝視する。
大きな瞳に俺が移って、それすらも鼓動を促進する薬にしかならない。胸が痛かった。
お世辞にもうまいとは言えない。
なんか甘すぎる。
砂糖入れたのか?
塩と間違えたのかもしれない。
あとちょっと生焼けだ。
見た目は美しいがまだまだムラがある。
「うん。めちゃくちゃうめえ」
だけど言っちゃいけない本音は存在する。
おっと指にもまだついてる。舐めるか。
行儀悪く指についた卵のかすを舐める。
旭はとっても嬉しそうに笑ってくれた。
頬を真っ赤にするぐらい嬉しいだなんて、俺まで嬉しくなる。
にやけそうになる頬にパンを押しつける。
でもあながち嘘をついたとは言えない。うまいのは事実だから。
味とか見た目とか、本当の旨さには含まれないと思う。
少なくとも俺は。
どんな不格好な形でも、俺にとっては旭のうれしそうな顔が、何より最高のごちそうだから。
って俺超臭いこといいそうになった。危ない。
「ありがとう吉岡君。すごくうれしいよ」
俺のほうが嬉しい。
そう言い返したかったが、彼の笑顔に胸が詰まって言葉にならなかった。
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