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せつなれいにーside旭秀治
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吉岡君の意外なお誘いに甘えてしまった僕だったけれど、今ちょっと後悔しています。
傘を兼用で使うといっても、二人も入ったら窮屈なわけで。
しかも吉岡君の傘は折りたたみ傘で、緊急用として開発されたものなので二人で入る用に作られているわけではなかった。
とてつもなく距離が近い。雨音が遠ざかれば吉岡君の吐息が聞こえてきそうなぐらい密着している。
駄目だ心臓が痛い。吉岡君に聞こえていなければいいのだけれど。
ちょっとだけ高い位置にある吉岡君の横顔を盗み見る。
まっすぐ前を向いてこちらをちらりとも気にしない。だけど不思議なほど眼が見開いて背筋が伸びていた。
もしかして吉岡君も緊張してる?そんなわけないか。浮かび上がってきた疑念を振り払う。
こんな僕を気にするとか有り得ない。これは予想じゃなくて決定事項だ。
僕は変な荷意識してしまうのは何故だろう?僕たちは友達なのに、おかしいよね。
現実から目をそらし続けてきたけれど、そろそこの状況を冷静にとらえようか。
いっ所謂これは、相合傘というやつじゃないだろうか?
おさまってきた風と雨が、今は恨めしかった。
歩くのが困難なほど降っていたなら、こんな邪念を気にしている余裕なんてなかったはずなのに。
急に照れくさくなって俯いた顔は、冷気に晒されて少し火照りがおさまった。
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