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お礼side旭秀治
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「えっこれ俺に?」
確認するような一言にコクリと頷く。
二日前の豪雨のときにお世話になったので、少しでもお礼がしたくて吉岡君のプレゼントを買ってきた。吉岡君が好きなものとかほしいものは全く分からなかったので憶測で購入してしまった。
でもその分気持ちはこもってる。つもりだ。真剣に物色して店員さんに変な目で見られるほどに熱中して吉岡君の好みを想像したんだ。
この思い伝わるかな?
「あけていいか?」
もう一度同じ動作を繰り返す。
まさかここであけるとは思っていなかったのでドキッとしたけれど、そっちのほうが僕もうれしい。
「猫のキーホルダー」
袋を丁寧にあけた吉岡君は、出てきた物に目を丸くした。このリアクションをどう受け取ればいいんだ!?あせった僕は言い訳がましい言葉を連ねる。
白猫をモチーフに象ったシンプルなキーホルダー。自分でも理由は不明だけれど人目見たとき、なぜか吉岡君が浮かんだのでこれにしてしまったんだ。
今思えば男子高校生が持つにはあまりにも可愛らしい趣味かな?僕はこういうの結構好きなんだけれど。吉岡君、こういうの嫌いだったらどうしよう?今更過ぎる焦った。どう考えても失敗したように思えた。
「あっきっ気に入らなかったらごめんね」
逃げるように付け加えた僕に向けられた表情は、晴れやかな微笑み。吉岡君は興奮したようにキーホルダーを見つめている。
「すげえ嬉しい!ありがとう!携帯につけていいか?」
「勿論」
喜んでくれたの、かな?よかった。本当に良かった。吉岡君の喜びようは大げさなように思えたけれど、見ているこっちが嬉しくなってくる笑顔だった。
「大事にする」
そんな一言がどれほど僕を喜ばせたのか、吉岡君は分からないだろう。
実は白猫のペアとして売られていた黒猫も買っているんだけれど、このことを言うのはもう少し後でいいかと先延ばしにしてしまった。
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