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ラストアップside旭秀治
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うっ気持ち悪くなってきた…。
頭の中がぐちゃぐちゃになりすぎて気分にまで影響を及ぼし始める。
胃がグルグルかき回されているような不快感に俯く。
吉岡君に迷惑かけたくなくてずっと顔を隠していると、触れていた温もりが遠のいた。追いかけようとした手を反射的におさめる。
「ここどうぞ」
短くお婆さんが「ありがとね」といっぱいしわを寄せて温かく微笑む。
僕の隣に腰を下ろしたお婆さんから、立ち上がって僕の前にやってきた吉岡君を見上げた。
吉岡君はお婆さんに席を譲ったのだ。
ぼーっとしていた僕は自分の気遣いのできなさに頭を抱えたくなった。俯いていたからしょうがないなんて言い訳にしかならない。
「あっじゃあ僕も」
「旭は座ってろ」
吉岡君が立ってるなら僕も。そう思い腰をあげかけたけれど直ぐ下ろした。
「酔ったんだろ。もうちょっとだから頑張ってくれ」
酔ったのばれてたんだ。
吉岡君の観察眼の鋭さに脱帽する。
そしてその優しさにも。
現代の高校生でこんなにも気遣いができて優しさに満ちた男子高校生はいるのだろうか?
少なくとも僕はまだ吉岡君しか知らない。
本当に不良なのかな………?
お年寄りに席を譲る不良なんて聞いたことないんだけれど。
学校中で囁かれている噂なんて、あてにならないなと確信した瞬間だった。
そういうのはたいてい悪い方向にしか導かれないものだし。
そんな一部分で彼の本当の良さをわかるわけもない。ってまた僕吉岡君のこと考えてる!
恥ずかしくなってあわあわしていると、吉岡君が不思議そうに首をひねったのが分かった。
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