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ラストアップside旭秀治
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「俺は、好きじゃない人には、優しくしない」
「え………?」
吉岡君がつっかえながら発した言葉の意味にまず感じたのは驚き。
どういう意図で彼はそういったのだろうとゆっくり噛砕き、中に込められている本音をさらけ出そうと無意識下で考え込む。
途中で恥ずかしさにすり替わってしまったので結局考える余裕を落としてしまったのだが。
好きじゃない人には優しくしない。
つまり僕に優しくしてしてくれる吉岡君は、僕のことが嫌いじゃないということで。
すばやく廻った思考を無理やり振り払う。
ココから先は吉岡君の口から教えてほしい。僕が考えて答えを出しても何の意味も持たないから。こんなところまで受け身体制を保つ僕だけど、これは例外だった。
どうしても吉岡君から言われたいのだ。自惚れじゃなければ、答えは一つ。友情としての答えか、それとも。
僕は待つことしかできない。
望む一言を、ただ待つしか。
「そっそれはどういう意味?」
待ち切れなさが急かすように鼓動が速くなる。心臓が痛い。ドキドキして死にそう。僕は。涙が滲みそうになる。視界がぼやけてくる。手が震える。軽い目眩がしてきた。息が荒くなる。自分の息遣いしか聞こえない。顔が熱い。隣の吉岡君の熱まで伝ってきそうだ。そわそわして落ちつかない。吉岡君のことしか考えられない。
こんなの知らない。こんなの知らなかった。
こんなにも辛くて苦しくて泣きそうで嬉しくて愛おしい感情なんて。
吉岡君と出会うまで、知らなかったんだ。
「俺は、旭のことが」
僕も、もう戻れないほど、戻りたくないと思えるほど、吉岡君のことが。
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