アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
運命の席替えside旭秀治
-
全員分回し終えたあみだくじを教師が集計する。生徒にやらせないのは不平等にシャッフルされる危険性があるからだろう。
友達と離れてしまったからちょっとこっちとおれの席を変えてやろう、とか。
好きな例の人と遠い!ちょびっとこいつと交換してもらおう!とか。
なさそうであり得る身勝手な不正があってはたまらない。何のためのあみだくじだと思っているのやら。
教師が集計し終わり、名前と席番号を言っていく。廊下側から始まり、窓際で終わる。つまり後の番号で呼ばれれば窓際という特等席を獲得することができるのだ。
名前と番号を発表する声が遠くに聞こえた。
もう現実に興味を失った僕が唯一好奇心を抱くのは読んでいる本の続きだけだ。いいところで栞挟んでるんだよなー。
鈍感なヒロインが主人公への気持ちに気付きかけているところ。ベタベタだけどそれがまた面白い。さてさて。ヒロインはどう行動していくのだろうか―――
「旭29番」
妄想にふけっていると呼ばれた。慌てて番号を口の中で復唱する。29番。窓際だ。しかも後ろから二番目。ベストポジションじゃないか。幸先がいいぞ。
どこでもいいといったけど、やっぱり特等席を獲得したのは気持ちがいい。
やや得意げに鼻をこすって立ち上がる。席移動だ。一斉に皆机を椅子を移動させ始める。
中の教科書を出すよりそのまま移動したほうが早いし行動時間が短い。重たい机にふらついて後ろにいた人にぶつかりそうになる。誰にぶつかりかけたのか確認はしなかった。だって未遂だし。
どっこいしょと机を床に下ろす。
窓から眺めることができるグラウンドは青空に映えて色彩を濃くしていた。いい天気だな。
腰を椅子に落ち着かせ、さてお隣さんは誰になったのかな?となんとなく首を横に向ける。
その瞬間、僕の全身に機能停止のアラームが鳴り響いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
4 / 84