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小さな挨拶side旭秀治
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席替えをしてから数日が経った。
気付いたことは、案外この席は悪いもんじゃないということ。窓際だし。
いい具合に席がばらばらになったらしく、授業中の話し声が格段に減った。
前月はひどかった分、今はとても静かに思える。
これでゆっくり本が読めるね。授業は聞かなくても大体分かるから大丈夫。
一番の不安要素であった吉岡尋海君はあれ以来僕に話しかけてこない。
時折感じる視線を除けば比較的温厚な日常が続いている。平和って素晴らしい。
怖くてそっち見れないから、どんなまなざしなのか分からないけど。
まあ校舎裏に呼び出されたりかつあげされたりはしないみたいだから何だっていい。
直接害がなかったらどんな目つきでもいいんだ。視線で穴があくことはないし。
「平和だなあ」
再度呟く。空は青いし雲は白い。
普段通りの日常がめぐることがきっと平和っていうんだろうな。
そんないい天気の朝に、異変は起こった。
僕の机の隣に立ってじっと見下ろしてくる。僕は小さくなってびくびくすることしかできなかった。まるで狼に睨まれた子羊みたい。
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