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机をくっつけるside吉岡尋海
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またかったるい時間が始まるかと思えば気が沈まずにいられなかった。
俺は教室内の景色を映画のように捉える。
数学って何のために学ぶんだよ。んなもん足し算と引き算と掛け算と割り算できてりゃ生きていけるだろうが。
円の公式とか方程式とかこの腐った社会にどう役立つのか、それを教えてから教壇に立ってほしい。
瞼が自然と落ちてくる。始まる前に眠気に襲われる。
昨日の夜もなかなか寝付けなかった。暗い部屋で天井を茫然と見上げる時間は思い出したくない。
ここなら皆いるし窓から入ってくる日光で暗くはない。カーテンは閉められていない。
そのうち日光の販社に耐え切れなくなった生徒が閉めるんだろう。その前に温もりをたっぷり味わいながら夢の世界に旅立つか。
机には一回も捲ったことがない新品同然の数学の教科書だけ。一応教科書ぐらいはだしておかねえと。見る気ないけどな。
授業も自主勉強もしない俺にとっちゃ猫に小判だ。リサイクルに出してやろうかと思ったけど姉貴にドロップキックをかまされたから思いとどまった。ほんと必要ないのになー。だったら古紙回収してトイレットペーパーもらったほうが効率的だと思うけど…。
隅に押しやりながら机に倒れこむ。うーあったけえ………。
その際、ちらりと隣を盗み見た。旭が困ったような顔をしていたのが気になったけど声なんてかけられるはずない。
あー旭と話したいなー。こぼれおちる日差しに祈るように呟いた。
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