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机をくっつけるside旭秀治
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吉岡君に教科書を借りることになった僕はびくびくしながら机を移動させる。
がたがた机の脚が床をこする。まるで行きたくないと駄々をこねる子供の我儘に聞こえた。僕だって行きたくないよ!
泣きそうになりながらも必死で机を動かした。
吉岡君との距離が一気に縮まる。突然動機に襲われた。心臓に疾患があるみたいだ。
ちょっとだけ隙間を空けて寄せる。どすんっと取りこぼすように場所を落ち着かせる。
そしてちょこんと椅子に腰をおろす。さっきまで確かになかった人の体温がすぐそばにあることがとても僕を苦しめた。
吉岡君の様子をうかがう。
彼は別にどうでもいいといったように僕に毛ほども興味がないみたいだ。それでいい。
僕なんてそこらに転がっている石ころ同然だから。むしろ石ころです。
「………ん」
短いうめき声と共に、教科書がずいっと押しやられる。
驚きのあまり椅子から転げ落ちそうになったけど寸前で踏ん張ってこらえた。
教科書は僕と吉岡君との中間、つまり微妙に空いた隙間に差し込まれる。やや宙に浮いているのは僕がちゃんとくっつけなかったから。
「おっお願いします………」
「………おう」
ぺこりと頭を下げると、一層眉間に皺が寄っていた。
うわあああ気まずいよおおお怖いよおおおお。僕の体内で悲鳴が轟いて大変なことになっていた。
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