アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
机をくっつけるside吉岡尋海
-
名前を呼ばれた気がした。
せっかくもわもわした夢で寛いでいたというのに。脳内をがんがん揺らされたような不快感が沸き起こる。
不貞腐れながらも上半身を起こす。
教室中の目玉が俺に集中していた。ちょっとビビった。でもこんな視線には慣れっこだ。
何故だかわからないけど俺はよく目をつけられる。絡まれやすい運命なのかもしれない。
それでどうしたんだよ。勿論話の脈絡なんて把握しているはずもなく。
きょろきょろと辺りを見回して状況を確認しようとする。
あーやべ。わかんねえや。
皆一斉に俺から目をそらした。冷たい奴らだ。まあいいんだけどさ。
「何だわからないのか?」
教卓の前で数学の先生がじれったそうに言う。んだよ。俺はお前が問うてる出来事自体がわかんねえんだよ。もう一回説明してくれ。と催促するのももう面倒くさく。癪に障るけどうなずいてやろうかと思った。
その時、ふと制服が引っ張られているのを感じる。
他の人からは見えない机の下で。犯人は一人しかいない。
そっちに目線をずらすと、旭が気まずそうに視線を下に落とす。
でも教科書の上に置かれた指は一点を指し示している。
そこに鉛筆で丁寧に書かれた数字を無意識に読み上げると、先生は満足そうに頷いて再び俺らに背中を向けた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
25 / 84