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誤解①
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あれから数日経った月曜日。
「優馬、今日は私は学校で会議がある。君は待っているか?」
「え…」
俺も一緒に行く。
と言いたかったけど、勉強道具はすべてここに持ってきてしまったし、行っても先生と過ごせるわけではない。
なにより『先生の家で先生の帰りを待つ』というのは特別な感じがしたから答えを変えた。
「はい、待ってます」
「そうか、じゃあ行ってくる」
菊池が準備をして、玄関のドアを開けようとした直前、「あ」と優馬がつぶやいた。
「先生…あの、」
優馬は菊池と目を合わせず、自分の服の裾を握りしめて歯切れ悪く呼びかけた。
「…?なんだ」
「学校で…七海に会いますか?」
その名を聞いて菊池の眉がピクリと上がる。
菊池は七海がついた嘘のせいで、優馬が七海に好意を抱いていると思い込んでいた。
「…七海?…いるかもしれないな」
「七海に手を出さないって約束、守ってください」
それは優馬の嫉妬心からの言葉であったが、菊池はそうは受け取らなかった。
「…そんなにあいつのことが気になるのか?」
「え…」
「君はなんのためにここにいる?七海のためか?君が犠牲になれば七海が守られるとでも?」
「ちが…せんせ…」
菊池は低い声で優馬に詰問し、迫った。
優馬は菊池がなぜ突然不機嫌になったのか理解できず、なにも答えられずにあとずさりするだけだった。
菊池は優馬を押し倒そうとしたが、腕時計が目に入り舌打ちした。
「…くそ、時間がない」
菊池は優馬を強く抱きしめ、噛み付くようにキスをした。
「七海のことは忘れろ。行ってくる」
菊池は苛立ちをドアにぶつけ大きな音をたててドアが閉まった。
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