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【早く、助けて】*結人side
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全力で走る。
彼は言ってくれた。
確かに、俺を許すと。
「 遥燈……!遥燈、だめだよ!めを開けて……」
「……ぁ……、ごめ、……」
崩れ落ちた遥燈の側で大きな声を出して寝ないように、目を閉じたらいけないと、言った。
ごめん、遥燈。こんなに、ボロボロにしてしまった。
遥燈、遥燈……。
ごめん、
ごめんなさい、遥燈。
ポタリと落ちていく水滴。
それが遥燈の顔に落ちていき、遥燈の頬を伝った。
「……な、くなよ…………怒ってない……、怒ってないから…………」
「……怒ってない?俺は、こんな、こんな酷いことを……」
「ゆい、とは……結人は何もしてな……い、」
「起きて、起きて遥燈。」
……どうしよう。
体を揺さぶっても起きない。
寝ちゃった。
ここから遥燈をおぶって学園に戻ろうとしても、仲間が遥燈を連れていくだろう。
戦えない、見つかる、また遥燈は……。
それなら、俺が走るしかない。
ごめん、遥燈。
もうちょっと辛抱してくれ。
*
「おい!!おい!!生徒会長!
ここにいるんだろ!!早く出て来い!!」
当たりは静まり返っている。
中からの応答もない。
「くそ!なんでいねぇんだよ!!!」
そこら中の生徒に聞きまくる。
どうやら生徒会長は遥燈の家に行ったそうだ。
……遥燈の家、知らない……。
そうだ、先生に!!
階段を一気に駆け下りる。
エレベーターとか、使ってる暇はない。
早く、職員室に……!
職員室に着くと、ノックもせずに入った。
「清川先生!!遥燈の!立花の住所!!早く!!」
「うぇ!?桐島?お前最近学校来てなかっただろう。」
「そんなことより!!早く、遥燈の住所!!」
「あ、あぁ……」
早く、早く早く。
脳の警報が異常に鳴り出す。
待って、時間、止まって。
俺だけを置いてって、止まって。ねぇ!!
「桐島、わかったぞ。
ほら。」
先生が紙を出してくれた。
思わず涙が出た。これで、これで、遥燈は救われた。
「これで、これで助けられる!!先生ありがとう!!」
「……助ける?おい、桐島今の話…………、足だけは速いな。」
早く、遥燈の家へ……。
*
ピンポーン、ピンポーン
「生徒会長!いるんだろ!!早く、遥燈が、遥燈が……っ」
ドンドンっ
ガチャ
「…どなたですか?……遥燈は今……あ、ちょっと!」
遥燈の家族の人なのか、とても似ていた。
「会長!生徒会長!遥燈が、遥燈を助けて、早く、早く!!」
「桐島、お前……!」
「早くしてくれ!遥燈が……!」
生徒会長は俺のただならぬ雰囲気を察したのか、はたまた"遥燈"という言葉に反応したのか、上着とスマホだけ持って、すぐに家を出た。
副会長と、次期理事長と、あとお姉さんと……
早く走れ。
……遥燈を助けるために。
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