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【年上なのに。】*誠side
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よく晴れた日に、屋上の更に上に来て、本を読んでいた。最近は学園内が騒がしくて、ちっとも本が読めない。
男の癖にキャーキャー騒ぐ奴がいるし、女も女でうるさいし。
教室では休めない。
……本当にやってられない。
しばらく本を読んでると、下から声が聞こえた。
ブツブツ何かを言っている。
聞いてみれば文句のようだ。
全て口に出しているけど、気づいていない様子だ。
このままだとずっと文句を言ってそうだから、逆に文句を言ってやった。
「あの、うるさいんですけど。」
そう言えば、振り返ってこちらを見る男。
分からないって顔をしている。
「さっきから全部声に出てますけど。」
「え、あ、すみません。」
「……僕、1年なので敬語いりませんよ。」
「あ、そっか、そっか……本読んでたところごめんね……」
「いえ、別に。」
それにしても、この顔をどこかで見たことがある。
なんだか、噂になってる……、あぁ、淫乱男子か。
気になるものだから、わざわざ降りて先輩のところに寄った。
「先輩って、噂の淫乱男子ですか。」
「い、淫乱男子…?」
「あれ、間違ってました?生徒会に付け入って、生徒会長達を体を使って盗ろうとする泥棒猫って。挙句の果てには理事長まで盗ろうとしてるって。」
そう言えば、驚いた顔をした。
知らなかったようだ。
「は、はぁ!?俺そんな風に思われてたの!?
…………も、もういい加減に頭にきた。それ言ってたの誰か教えてもらえる?」
「嫌です。」
「……は?……お、し、え、ろ!俺今すっごいイライラしてんの。君に危害は加えないから教えてよ。」
「今言ったら、その人に殴り込みに行くつもりでしょ。そんなんじゃ先輩、滅多打ちにされて死にますよ。」
「うっ……確かに……。」
……先輩なのに、どこか頼りないな。
「それに、この噂は前々から影で言われてたんですよ。今言いに行ったって、もう遅いですよ。」
「……そっか。……はぁあ……なんで気が付かなかったんだろう。」
「…重度の鈍感ですね」
「……君はそれ、信じたりしてる?」
……信じる、か。
僕は興味無いことに関心はない。
「信じてないですよ。僕は見たものしか信じない。」
「…よかった。……あ、君、名前は?」
「前園 誠です。ごんべんのまことをせいって読みます。」
「誠くんね。俺は立花 遥燈。止めてくれてありがとね。自分の命を無駄にする所だった。」
「構いませんよ。というより、先輩はクスリやってるんですか」
「へ!?や、やってない!……精神安定剤だよ。」
……なんでバレたんだという顔をする。さっき全部口に出してたでしょ。
…面白いな。年上なのに、……なんか……不思議な……。
「ふーん。精神安定剤……。精神が不安定な原因を探ると何か起きるんですか?」
「……んー。どうだろ。
俺はね、表の自分が裏の自分を殺そうとしてるって言われたんだ。だから、精神が不安定で。薬がないと暴れ回るかもねー。」
「なるほど、それは大変ですね。……あ、本鈴なるので行きますね。じゃあ、応援してます、遥燈先輩。」
……何かが始まる気がした。
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