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【自分で解決するんだ。】
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放課後、生徒会に顔を出すことも忘れて、結人の墓に行った。
答えを聞きたくて。
そんなことできないのは分かってる。でも、人間はおかしくなると、居ないはずの"それ"を探すんだ。
いない。いない、どこにも居ない。
そんなの、分かりきってるというのに……。
脳が探せ、見つけ出せと俺を急かす。
ガンガン響く。
痛みと、人殺しという言葉がガンガンと俺を揺する。
これはただの頭痛じゃないことぐらい知ってる。
ストレスだ。精神壊した時と似たような症状。
今回は浅いようだけど。
「結人……来たよ。」
「あぁ、いらっしゃい」
「元気してた?痛みは?」
「全然全く。
遥燈はどうしてここに?何か思いつめるようなことでもあったんでしょ。」
「お見通しか。」
ははっと結人は笑う。
「そりゃあねぇ?ずっと遥燈が好きだったし。そのくらいの変化はわかるよ。
そんでどうした?」
「……君の…結人の弟が学校に来てさ、人殺しだって言われたんだ。
結人は俺を許さないでくれっていっただろ?
許さないなんてこと出来ないのかもしれない。
だって俺はーーーー……!」
そこまで言って気づいた。
目の前に、もう結人はいない。
……一体誰と話してたんだ。
そうだ、結人はいないから……。今朝、弟君にあったからちょっとおかしいのかも。
でも、こうなれば答えが聞けない。
「結人……無理だよ。
俺は、君を許さないと自分の罪を償えない。死まで追い詰めた俺は、のうのうと生きることを許されていない。
生きられない。教えてくれないか。
…本当はなんであんなこと言ったんだ?許さないでくれだなんて。
そんなの出来ないってわかってただろ?」
答えはない。
当たり前だ。むしろ答えがあったら怖い。
花を買うのを忘れていたから、墓に水をかけてやる。
ポケット入っていた飴をスッと置くと、その場を去った。
自分で解決するんだ。
人に縋るな。これは己の問題。
ましてや亡き人に縋るなんて、本当に頭いかれてる人だ。
よし、覚悟しろ、俺。
俺は来る時よりも堂々とした歩きで帰った。
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