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【誰も気づかない】*有本side
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向けられる刃物。
動かない手足。
僕が一体何をしたというの。
僕はただ、母様を喜ばせたかっただけなのに。
なんで僕を殴るの。どうして僕を縛るの。
何故、僕を殺そうとするの。
ねぇ母様。こっちを見て。
あなたは僕を見ていないでしょう。
僕はこんなにもあなたを見つめて、必死に自分の悪いところを探して、反省してるというのに、
なんで母様は知ってくれないの。知ろうとしないの?
僕が母さんの嫌いな人の子だから?
父様の子どもじゃないから?
それとも、こんな汚い容姿だから?
僕は大好きだよ。母様。父様。
例えあなた達が僕を見ていなくても、殺そうとしても、僕という存在を消そうとしても、
僕はずっと愛しています。
たった二人の家族を愛しています。
大好き。大好きなんだよ。
これからも、ずっと、愛をください……。
* * *
僕の名前は有本 勇気。
いつも偽って生きている。
気持ち悪いくらい甘ったるい声で囁いて、夜の営みをする。
そしてお金をもらう。
父様と母様にお小遣いを貰えるほどいい子じゃないから、こうやって稼ぐんだ。
みんなその気になる。すぐに。
みんな僕のこと可愛いっていうんだ。たまにブスっていう輩もいるけど、そんなの気にしない。
だって、愛されてるって実感する。
僕のことだけを見て、僕に夢中になってくれる。心にも、体にも夢中になってくれる。
僕しか見ていない。
嬉しい。
僕がイケメンあさりしてるのはただの気まぐれ。
どうせ交わるならイケメンがいいし、気持ちいい人がいいから。
だから僕はイケメンあさりをしては、夜にやって、お金をもらう。
僕が出会ってきたイケメンに、優しい人はあまりいないけど、どうせするなら……ね?
周りの人達は知らないんだ。
ぶりっ子の僕が本当の僕だと信じている。
あんなの、重度のぶりっ子でも気持ち悪いって気づくレベルだ。
僕がするわけないだろ。
全く、誰も僕を理解してくれない。
味方につけた会計の秋人も、書記の涼も僕のことを可愛い可愛いって言うだけで知ろうとしない。知って欲しくないけど。
あーあ。いつになったら、僕にも本当の友達ってやつ、出来るんだろうな。
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