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【切ない情】*有本side
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日は巡り、やがて春が来た。
クラス替えで、立花 遥燈とクラスメイトとなってしまった。
屈辱的でならない。
もちろん、僕は彼が嫌いだけど、僕に少し似ているような気がする。
一瞬、ピリッとするような……。
僕を見透かされそうな……そんな気がして……。
だからこそ彼には余計、辛く当たる。
それでも彼は、人間らしさと自分らしさと、少し1匹狼のようなオーラを纏いながら僕に反撃する。
威嚇する。
俺に近づくんじゃないと。
それだ。その目。君は僕にそっくりだ。
でも、似ても似つかぬ存在。
同じであって、反対色でもある僕ら。
君は気づいてるのかな。
* * *
僕は等々、外国へと売られてしまうらしい。
母さんたちが僕を虐めてたあの家ともお別れ。
母さんたちは僕が小学生の時に亡くなったが……。
売られると言っても、人身売買じゃない。
外国で勉強するんだ。そして、いつかはあの家を継がなきゃならない。
1人っ子の僕は、お爺様が営むその企業を継がなきゃならないのだ。
全く、嫌だね。あんな腐ったもの、僕は求めてない。
お別れ
立花遥燈とも、会長とも、会計達とも。
いいじゃないか。
僕は何一つ求めていない。もう、求めていない。
この際、かんじょうはなくなったとでも考えておけばいいのに。
思えば思うほど涙が出て……。
……情が湧き上がった。
でもいい。
お爺様は僕の意見など尊重しない。
思い通りになればいいのだ。
あぁもう。
嫌いだ。行きたくないよ。
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