アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ep33
-
放課後。
生徒が帰る準備を始めても藤吉君が来る気配はなかった。
どうしたんだろう。
スマホを見てもメッセージはなかった。
一応少し待ってみてから連絡を入れよう...。
「あの、多田君」
スマホを見ながら座ってたら後ろから声を掛けられた。
笹山さんだ。
「どうしたの?」
「ううん、特に用事はないんだけど...」
頬を赤らめて笹山さんは目を逸らした。
何か相談事かもしれない。
解決できる気はしないけど話を聞くだけなら...。
「多田君...もし良かったら一緒に帰らない?」
一緒に...帰る...?
女子から言われたことのないセリフを聞いて頭がフリーズした。
なんで?
帰りながら相談を聞いてほしいのか?
「...なんで?」
いけない、つい声に出してしまった。
笹山さんは面を食らった顔をしたあと慌てた。
顔が真っ赤だ。
「い、一緒に帰ってみたかったの...!」
俺と一緒に帰りたいとか変わってる子だなぁ...。
もしかして罰ゲームか?
でも藤吉くんと帰るって約束...はしてないけど帰りたいし...。
「わかった、ちょっと待ってて、藤吉君に聞いてみるね」
「ななななんで藤吉く...」
なぜか藤吉君の機嫌が悪かったし笹山さんには言えないけど恋人同士だし聞くべきかなと思った。
笹山さんにその気はないだろうけど恋人が異性と二人きりで行動するっていい気はしないよな...。
「連絡入れたよ。でも許可してくれるかな...」
「そ、だね...?」
笹山さんの頭上にハテナマークがいっぱい見える気がする。
なんでだ。
「きっと大丈夫だと思うけど...」
藤吉君が来たらすぐわかるように扉を見ると目が会った。
こちらをじーっと見つめる藤吉君に。
「ヒェッ...!」
「どうし...ひゃあ!?」
俺の視線に釣られて扉を見た笹山さんも可哀想に悲鳴を上げた。
少し開いた扉から見ていた藤吉くんは普通に入ってきて俺の前に来て机をバンと叩いた。
「...帰るぞ多田」
「うん...」
俺はそれしか言えなかった。
また藤吉君の機嫌が悪くなってる...。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
33 / 39