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ep37
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結局昨日は寝れなかった。
これから藤吉君を前にどんな顔をすればいいのかわからなくて、いっそ会いたくないとさえ思えた。
「おはよう、多田君」
「笹山さん...おはよう」
笹山さんが挨拶してきて俺も返す。
昨日のこともあって気まずい。
「昨日はごめんね...」
「ううん、私こそ余計なことしちゃってごめん...」
笹山さんは何も悪くないのに謝る。
「二人のこと知らなくて...」
普通は男同士が付き合ってるなんて考えないから仕方ないと思う。
「...藤吉君は嫉妬したのかもしれない」
「嫉妬...?」
「うん...好きな子が知らない女の子といたらあまり嬉しくないよね」
笹山さんの頬がなぜかほんのり赤らんだ。
あぁ、俺が笹山さんを好きになっちゃうと思ってたのかな...
たしかに笹山さんはすごく良い人だけどあくまで友達だ。
笹山さんは俺を友達だと思ってないかもしれないが俺はそう思ってる。
「...私、もうあまり多田君に近付かないようにするから、だから安心させてあげて」
目を伏せて笹山さんが言った。
本当に笹山さんは何も悪くないのに酷いことを言わせてしまった気がした。
「笹山さん、ごめん」
「ううん、いいよ」
笑った笹山さんは無理してるように見えた。
「ちゃんと仲直りする。...だから友達でいてほしい」
「............」
「笹山さんはここで初めてできた友達だから」
「...うん」
笹山さんが頷くと丁度チャイムが鳴った。
早く教室に行かないとホームルームが始まる。
「笹山さん、行こう」
「うん...」
早足で教室へ向かう。
もうすでに頭は再び藤吉君でいっぱいになって後ろから着いてきていた笹山さんが手を握りしめていたことに気付かなかった。
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