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信用 2
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澄和side
ぱたん、と静かに閉まったドアを眺める。
倒された身体を起こそうとしたけど、クラリと頭が揺さぶられる感覚に陥って諦めた。
言動こそ少し荒々しかったものの、蓮見さんの顔はとてもとても悲しそうで。
蓮見さんが伝えたいことは、分かる。
もっと頼っていい、縋っていいってことだよね。
けれど。
そんなの言えるわけない。
…じゃないな、────言いたくないんだ。
蓮見さんの前では元気で明るい柊 澄和でいたいし、
今まで一緒に夕飯を食べたり泊まったりしたみたいに楽しい時間を過ごしたい。
優しすぎる蓮見さんに少しでも面倒くさいって思われるのが嫌だ。
こんな奴だったんだって感じられたくない。
全部俺のエゴ。
蓮見さんのことは何でも知りたいのに
俺自身のことを蓮見さんに知られるのは嫌。
小賢しいなぁ…。
千景さんが組のことを蓮見さんに告白したのも吃驚した。
千景さんが自分でも言ってたけど、''裏の世界''ではあんな簡単に素性を明かすなど自殺行為だ。
しかも千景さんほどの地位なら尚更。
蓮見さん、やっぱり嫌だろうなぁ…。
いつかは言わないと、と思っていたけど
実際蓮見さんが知るとどうしても気が引けてしまう。
それに、保護者として関わっていくってなんでだろう?
わざわざ俺の為に手をかける必要なんて無いのに。
頭の中を色々なことがぐるぐると回っていて。
全部から逃げるように、そっと目を閉じた。
そして深い眠りの海に沈みしばらくが経った時。
胸の不快感に目が覚めた。
「…ぅ、……は…っ……。はぁっ」
最悪だ。
こんな時に限ってやっぱりだ。
目眩がした時から体調の変化には気づいていたけど、
蓮見さんと過ごし始めてからは何故かすごく落ち着いていたから大丈夫だと思ったのに。
「はぁっ…ひっ……、はっ、…っはぁ」
思うように呼吸が出来ず、縋るようにシーツを手繰り寄せた。
上半身を起こさないと、と考えてはいるのに身体が動かず目の前が白く霞んでいく。
苦しい。
しんどい。
辛い。
「…っは、はす…っみ、はぁっ…さん…」
無意識に呼んだ名前が千景さんでなく蓮見さんで。
あぁやっぱり小賢しい、と自嘲気味の笑みが零れた。
冷たいシーツの中。
生理的なものなのかそうでないのか分からない涙を滲ませながら整わない呼吸に耐えるのは、なんという訳でもなくただ無性に寂しかった。
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