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童 1
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千景side
「今日からこの子は柊組の子だ。
ゆくゆくはお前の供の者になる」
圧倒的な凄みを持ちそう言い放った組長────父親の逞しい腕の中で眠る赤ん坊。
「名は、澄和。
これからは柊 澄和だ」
澄和と出会ったのは俺が7歳、澄和が1歳のときだった。
由緒正しいがゆえに未だ風習・迷信に従っている家に生まれ、不幸にも忌み子として売られかけていたのを組長が引き取ったらしい。
組長は俺だけでなく組員にも引き取った経緯は一言も話さなかったけれど、少し大きくなって知性を持ち出した俺にだけ仕方なく教えてくれた。
「ち、かげ!」
あどけない顔でよちよちと歩いて俺を追いかけ回す澄和は、まさに天使のように可愛らしい。
けれど、俺の従者になる為の教育はこんな幼い頃から既に始まっていて。
澄和は、一般教養・護身術・読心術の他に料理・裁縫・
華道・茶道など、他にも幅広く多様な事を教え込まれている。
澄和はとても飲み込みが早く、そして賢かった。
まさに一を聞いて十を知るという言葉がぴったりだったのだ。
それに人一倍優しく繊細な性格も相まって、期待に応えるかのようにすくすく成長した。
澄和が7歳になったある日、事件は起きた。
「親父…っ!澄和坊ちゃんが!」
「どうした」
組長の部屋がドタバタと騒がしい。
横の部屋で勉強していた俺は、襖から顔を出し聞き耳を立てる。
「剣道の稽古してたら、急に、過呼吸に…!!!」
その言葉を聞くと同時に、足は稽古場へと動き出していた。
バンッと音を立て扉を開ける。
「澄和…!」
組員を押し退け澄和を奪い取ると、澄和は青白い顔で俺に手を伸ばした。
「…ひっ……ち、…かげ…はぁっ…ぅあ……」
焦るな。
澄和の手を握り返して、今何をすべきか考える。
そ、うだ。
「ふくろ…紙袋持ってきて!」
組員に紙袋を持ってこさせ澄和の口に当てるが、なかなか治まらない。
焦りばかりが募ったとき。
「全員退け」
凛々しく頼もしい声が響く。
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