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「もう、こんな時間か。時間来るの速くない〜?」
「決まりは決まりですから、駄々をこねないで下さい。美波くん。」
「別に、駄々なんて捏ねてないし〜。」
「美波は、今日の分の仕事を終わらせずに来とるんやから駄々を捏ねるのは当たり前やろ。」
「どういう意味だ。」
唯賀は眉をぴくりと上げて瑠夏に視線を向け、その真意を探る。瑠夏はさも楽しそうに、一瞬、美波に視線を向け、唯賀へと視線を戻し人の悪い顔をしながら言った。
「生徒会室に行ってみれば分かると思うで?」
「そうか。悠介、後のことは頼んでいいか。」
「任せてください。しっかりつとめますから。」
「それじゃあ、俺は美波と話があるから
生徒会室に戻る。」
「後で、覚えてといてよ!!瑠夏ッ、!」
「せいぜい、頑張りや。」
ヒラヒラと美波に向かって
手を振る瑠夏を横目にして
都築はため息と一緒に呟いた。
「それで、何ですか?」
「ん?何のこと言うとるん?」
「わざわざ二人の状況を作り出してまで、聞きたかったことは何かと聞いているんですよ。」
「そんなつもり無かったんやけど。まぁ、あえて言うなら副会長の気に入りの奴に会いにいかへんのかと思っただけやな。」
「ほんとに、あなたといると神経擦り減らしそうですよ。」
「そりゃ、お褒めいただき嬉しい限りやな、そんで?」
「……行きませんよ。今日は、まだ。
私は、好きなものは後に取っておくタイプなんですよ。それに、気になることもありますしね。」
「ひょっとして、あのどんより眼鏡くんか?」
「その通りです。よく分かりましたね。」
「まぁ、勘って奴やけどな。副会長は、ああいうの嫌いそうやしな。」
「嫌いですよ、視界にいれたくないほど。
けれど、荒谷くんはそう言った区別が嫌いそうだと思いましてね。荒谷新は確実なる強者ですでしょう。でも、」
「この段階で、それを嫌う奴に未来はないってことやろ?
けど、まぁ、安心していいと思うで?副会長。
あのどんより眼鏡くんは案外、化物かも知れへんのやから。」
「それは、どうゆう意味ですか?」
眉を寄せて瑠夏を見つめる
都筑の瞳は困惑の色を映し出していた。
「さぁ?どういう意味やろか。
少なくとも、俺は好きなものは最初に食べるタイプってことやなぁ。ほな、俺は雪を探してくるから。後のことはよろしゅう頼むわ。」
「ちょっと!!全く、何時もいつも訳の分からないことばかり言って………。
それに、雪が来るはずないでしょう。
何よりもこういう場を、権力を嫌っているんですから。」
こうして、新入生歓迎会1日目は
静かに静かに幕を閉じた。
まるで嵐の前の静けさのように。
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