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交換
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「そういえばさ、連絡先交換しない?」
駅までの帰り道、碓氷は突然俺にそんなことを言い出した。べ、別に連絡先くらい交換してやってもいいけど…!
「ま、嫌ならいいんだけど」
「へ…?」
思わず碓氷の顔を見上げる。
どう返事すればいいのかわからずに黙っている俺を、碓氷は嫌だと思っていると勘違いしたらしい。
「…ゃ、…なぃ、、」
「無理すんなって」
ちがう、
ちがうんだよ、
本当はいやじゃない
ちゃんと言わなきゃ…
いつも通り帰路につこうと歩き出す碓氷の袖をつかんだ。
「なに?」
心なしか碓氷の声色がいつもより厳しい気がして、ビクッと体が震える。
「…、やじゃない…」
「……」
「やじゃない、から…交換した…いっ」
「……」
なんか喋ってよ、
なんでずっと黙ってるの、、
もう交換してくれない…?
不安になって、碓氷の顔を見上げる。見上げた碓氷の顔はいつもよりも心なしか赤くなっていて、俺の頭はハテナでいっぱいだった。
「…じゃ、携帯貸して」
「…ん、」
すぐにいつもの調子に戻った碓氷は俺の携帯をとって、なにやらかちゃかちゃしていた。
「はい。登録しといたから。」
返ってきた携帯を眺めて、少し頬が緩む。はじめて高校の知り合いの名前が入った携帯はさっきよりも少しだけ輝いているような気がした。
ちょっと、嬉しいかも…
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