アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
俺にしとけよ
-
仁side
俺は最近この学校に転校してきた。
今まで関西の学校に通ってたけど、適当に付き合ったりして遊んでいる方だった。でも、なんだか本気にはなれなくて、いつもーー私のことほんとに好きじゃないよねーーと言われてさよなら、
転校する前に付き合っていた彼女も転校を理由に別れる程度だった。
でもこの学校に来て見つけた、
真波雛
あれはたしかテストの最終日だったか。
最初見たときはかわいいやつやなくらいやったけど、
移動教室の近道として1年の教室の前を通る時に見ていたけど、いつもひとりでいる後ろ姿は寂しそうで、
目が離せなかった。
いつもひとりで、下を見ながらなにも話さない。
ヤンキーって呼ばれてるらしいけど、周りの喧騒に体を震わせるそれをヤンキーなんで見れるはずがなかった。
友達がいないのは一目瞭然で、まさか恋人なんているはずないと思ってたが、
隣のクラスの碓冰と付き合ってると聞いたときは、耳を疑った。それと同時に、モヤモヤとした気持ちが胸にたまる。
俯いた顔から覗く、長い睫毛や白い肌、うなじを見るたびに腹の奥がズンと重たくなるような気がした。
こんなのは、初めてで正直俺も戸惑ったけど、
俺の目の前で
碓冰を想って泣く雛は、俺が知っている雛よりもずっと脆くて、触れたら壊れてしまいそうなくらい儚くて、
「なぁ、雛…俺にしとけよ?」
気づけばそうつぶやいていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
65 / 85