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保健室に行くと先生は出張らしくいなかった
勝手に入ってベッドに転がる
また暗い考えばかり浮かんでくる
「やっぱりダメじゃん。」
ハハッと自嘲気味に笑う
何かが頬を伝っている
涙だった
何だかもう分からなくて消えて無くなってしまいまかった
気がつくと外はオレンジ色になっていた
いつの間にか寝ていたようだった
「桜川くん…」
いきなり名前を呼ばれ、驚いて声のした方を向く
そこには少し悲しそうな顔をした七瀬さんがいた
多分俺の涙の跡に気づいたんだと思ったけど何も言われなかったので、俺も何も言わなかった
「七瀬さんどうしたの?」
彼女は恥ずかしそうに俯いて
「その…告白の返事もらってなかったなと思って…」
寝癖のついた髪がぴょこぴょこしてる
「ぷっ。やっぱり七瀬さんは面白いね」
七瀬さんは顔を赤くしてほっぺたを膨らましている
かわいいと思った
「桜川くん、良かったら、何だけど…」
間を置いてそう切り出された
「付き合うふりをしない?」
「ふり?」
「うん。もしふりをしている途中に私のこと好きになったら本当に付き合って。」
これは俺が桜を忘れられないことへの気遣いなんだろう
「…分かった。それでいいよ。あいつも俺に好かれるなんて嫌だろうし…」
そう言って自嘲気味に笑った
その言葉に七瀬さんは悲しそうな、辛そうな顔をした
「桜川くん。忘れなくていいんだよ。好きなままでいいんだよ。あの人のこと好きな気持ちを否定しなくていいんだよ。人を好きな気持ちは悪いことじゃないよ。」
その言葉に涙が出そうになる
「…でもっ、俺は、男で、あいつも男で、きもちわるいって、おもわれて、」
声が震える
「私は気持ち悪いなんて思わないよ。気持ち悪くなんかない。…自分の気持ちを認めることはとても勇気のいることだと思う。ゆっくりでいい。自分の気持ちを認めてあげて。ゆっくりでいいから。」
七瀬さんの言葉がひとつひとつ心に沁みこむ
誰かに言って欲しかった。誰かにこの気持ちを認めてもいいと言って欲しかった
俺はせきが切れたように泣き出した
「うあっ…ぁぁ…うっぁぁ…」
ひと通り泣き終える頃には俺の目は真っ赤になっていた
「桜川くん目、真っ赤だよ」
七瀬さんはクスクス笑っている
「桜川くん。どうする?付き合ってるフリ、する?」
さっきは付き合うフリをすると言ってしまった。でも、やっぱり俺はーーー
「ごめん。あいつのこと好きなままでフリとはいえ他の人と付き合うことはできない。」
「そっかあ…」
七瀬さんは俺の答えがわかっていたようだった
「桜川くん。よかったら友達になってくれませんか!桜川くんがあの人のこと好きなこと他の人は知らないんでしょ?私が相談相手になるよ!」
急なことだったので呆気にとられていると彼女はそれを拒否と捉えたようで
「ごめんね、困らせちゃって。もう近づかないから」
俺はハッとして
「ごめん!びっくりしちゃって!いいよ。俺も友達になりたい。七瀬さんといるとすごい落ち着くんだよね。俺ももっと七瀬さんのこと知りたい。」
「よかった〜。嫌だったのかと思っちゃったよ。」
七瀬さんは安心したようにへなへなしながら笑った
「今更だけど…俺は桜川有栖。よろしくな」
ニッと笑う
「私は七瀬双葉。よろしくね」
彼女も俺の真似をしてニっと笑った
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