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代わり
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それから公園を出てまた、歩き始めた
不意に桜が口を開いた
「明日は先に行くなよ」
「…うん。朝先いってごめん。明日は待ってる」
「おう。」
それからまた無言で歩いた
すぐに俺たちの家が見えてきた
「じゃあ…」
家の前に立ってまた明日な、と言おうとして振り向いた
振り向くとすぐ近くに桜の顔があってちゅっと触れるだけのキスをされた
「…また明日な」
一言だけ言って顔も見ずに家の中へ入っていった
俺はしばらくその場から動くことができず固まっていた
「…っんだよ…勘違いしそうになるだろーが…っ」
俺は代わり。わかっているのに胸が痛い
でも代わりでもなんでも嬉しくて
心の整理がつかない
俺は急いで家の中に入り自分の部屋へ入って扉を閉めると電気もつけずそのままずるずる座り込んだ
「…ずりーよ」
気持ちのないキスでもなんでも嬉しいよ
お前になら何されたって嫌いになんてなれないんだよ
桜はずるい
でも一番ずるくて最低なのは桜の気持ちに漬け込んだ俺で。
あいつはかっこよくて、優しくて、鈍感で、自分のことは後回しで、人のことばっかり考えてて。
そんな奴だからきっと直ぐにあいつのことを大事にしてくれる人が現れる。
あいつが大事にしたいと思う素敵な人が。
その人が現れたら、笑顔でおめでとうっていうから
だから
代わりでもなんでもいい
ほんのひと時
それで諦めるから
桜の恋人でいさせて欲しい
おまえに大事な人ができるまで
俺のわがままを許して欲しい
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