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スタートラインY その7
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「気にするわっ。きしょいきしょい。だいたいお前に相談なんかせぇへんからっ。キスの方法とか、そんなんいらんねん!」
そんな段階ですらない。
この想いを伝える事も、忘れる事も、嫌いになる事も、目の前から消える事すら出来ずにいるのに。
こんな気持ちは消えてなくなればいい。
俺ごと、消えてなくなれば。
ちょっと勢いで当たってしまった唇にさえ反応してしまう俺は、本当に浅はかで、川本にとって迷惑以外のなにものにも成りえないと思えた。
「ちょっと事故ったみたいなもんやん。そこまで怒んなや。生理中の女子かお前は。」
ホンマ、笑える。
残酷な川本。
だけど川本は悪くない。川本を好きになってしまった俺が悪いだけ。
この苦しさを消化する方法を知らない俺は、この先もきっと耐えられそうにない。
もう諦めよう。
もうやめよう。
始まってもいない恋に、今にも泣きそうなくらい傷つく事があるんなら。
「今日二日目や。」
「あ、ホンマ?体冷やしなや?」
「うん、ありがとうっ。さっき薬飲んだから大丈夫!きよ子はいつー?」
「あたし来週やねーん。あんたから移るんちゃう???」
「いやぁぁ、そうちゃう!?移したるわぁ。」
いつものノリ。いつもの間と、
「もう女子コントええからっ。」
いつもの笑い。
これでいい。
川本に笑って見せたあと再び寝転んで、眩しいわ、と言い訳をして腕を眼球に押し当てた。
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