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スタートラインK その1
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先が見えないほど遠いと思っていた距離が少しずつ近付いて、やっと追いついたと思った途端に離れていってしまう。
梶原悠平という男は難しい。
島田と三人で飲んだ日。
俺が席を外している間に寝ていた梶原のベッドへ潜り込んで、朝になって慌てる顔を見てやろうとちょっとした出来心でイタズラをした。
朝の寒さで無意識に梶原に抱きついてしまった事に気付いて目を覚ましたが、梶原の反応があまりにも面白くて、寝ぼけたフリをして困らせてやった。
焦って耳まで真っ赤にして硬直していた梶原を思い出すたびに笑える。
お前の気持ちには気付いてんねん。
やって、最初にお前を見つけたのは俺やから。
梶原が俺を意識するように、ずっとそうやって仕向けてきた。
俺は昔から感覚的に人を分析する事に長けていると自負している。梶原に対してもその能力を遺憾なく発揮して距離を詰め、たまに突き放しては注意を向けた。
理論的な説明が出来ないのはこれを感覚だけでやってしまうからだ。
最近は確かに俺の気持ちに近付いてきていた。
もう一歩やな、なんて浮かれていた。
それなのに急に距離が開いてしまったのは、踏み込みすぎたから?時期尚早?
それでも好きだから仕方ない。
嬉しそうに笑う梶原が見たくて甘やかしてしまうのも仕方ない。
困った顔が見たくていじめてしまうのも仕方ない。
照れた顔が見たくて長く見つめてしまうのも仕方ない。
くすぐるフリをして抱きつく事も、抓るフリをして頬を撫でる事も。
俺のかわいいイタズラなんて、この気持ちを思えば大した事でもないやろ。
俺はいっこも悪ないやん。
読みは間違っていなかったはずなのに。
梶原は最近ずっと暗い顔ばかり。
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