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スタートラインK その19
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「目は閉じろや。マナーやろ?」
「・・・・・・川本も閉じてへんかったやん。」
「俺はええねん。」
「どんな理屈やねん。」
「酒くさいし、ほんで。」
「お前かてタバコくさいんじゃ。」
「・・・。」
「・・・。」
刹那の沈黙とその後の梶原の笑顔。
久しぶりに笑った梶原を見た気がした。
「帰ろか。」
自分にしては珍しく神経を使ったせいか体が強張っていたようで、大きく伸びをしながら公園を出ると、梶原もそれについて細すぎる歩道を一列に並んで歩いた。
通る車も少ないのに、律義にも交通ルールを守って一列になる梶原にこっそり笑った。
「・・・川本。」
「なんやねん。」
振り向かずに答える。
「津田は?」
まだ言うてんの?
「津田がなんやねん。」
「好きちゃうの?」
「なんで。」
「・・・。島田が言うてたから。」
「なんでそんなん気になんねん。」
「なんでて・・・。」
「アホ。」
信号待ちで横並びの間に酔って頬を染めている梶原を一瞥し、青信号と共に再び俺が前へ進む。
「なぁ。」
「今度はなんや。」
「島田にも、ちゅーしたん?」
「はぁ?・・・きしょい事言うなや。」
「ほななんで俺にちゅーしたん。」
お前まだ分かれへんの?
「なんで知りたいねん。」
広い歩道へ切り替わったのに、俺の少し後ろを歩く梶原。
「なんでなんでって、・・・・・・さっきからなんやねん・・・。」
「あほんだら。どうして・お前が・そんな事・気にしとんねん、って。」
「え、」
「なんで俺の好きな相手気になんねん。
なんで目で追いかけてくんねん。
なんで俺を避けんねん。
なんでしんどそうに笑ろとんねん。
なんで泣くほど辛いねん。」
お前の口から聞きたいねん。
俺の事、どう思てるか。
「にぶちん。」
再び歩みを進めれば、またゆっくりと俺の斜め後ろを歩き出す。
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