アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
雨と群青 その6
-
昼休み早々、激戦の購買で一番人気の焼きそばパンを手にした川本とその抽選にもれ、ただの玉子ドッグになった俺は肩を並べて屋上で昼食を食べていた。もちろん弁当も一緒に。
モヤがかかったように花粉で霞む空気。
陽気な春のぬるい温度と時々寒く感じる風が心地いいようでいて、それでも体温はゆっくりと冷えていく。
さっさと平らげてしまったパンに物足りなさを感じながら、まるで縁側にいる老人のように寝転がり日向ぼっこに勤しむ。
上を向いて瞳を閉じた川本に背を向けて横になり思う。
相変わらず二人ではいてくれているけれど。
なんか、ぎくしゃくしてんねんな・・・。
この前断った時から。
川本の強引なキスも、くすぐったい愛撫に強めの刺激、その全部が堪らなく好きだ。
溺れてしまいそうなくらい。
だから、怖い。
身を委ねてその波に飲み込まれてしまえば、制御出来ずに自分を見失ってしまうかもしれない不安。
そしてその醜態を川本へ曝らけ出す恐怖。
心と身体と感情がちぐはぐで、性急な川本にまだ心が追い付かない。
まだ、もう少し、あとちょっと、そうやって二の足を踏んで川本を待たせているのは解っていても。
申し訳なさよりも恐怖。好奇心よりも恐怖。不安、不安、不安。掘り返せばどんなものにも理由をつけられる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
62 / 116