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雨と群青 その10
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川本side
「今日部活終わったらどうする?」
平常心を装った梶原がいつものように聞いてくる。前はもっと俺を見ていたのに。
今では前以上にひどく泳がせた視線と自分を守るようにガードした腕組み。まるで1年前に戻ったようだ。
どんだけ気まずいねん。
「あー・・・今週は遅なるかもせぇへんから、しばらく先帰ってええで。」
そう逃げ道を作ってやりたくなるほど。
梶原は追い詰め過ぎると急に全てを閉じてしまいそうで、俺はそれ以上踏み込む事を躊躇う。
イヤとしか言わなくなってしまう梶原に、いくら押しの強い俺でも力尽きてしまうほどの強情さ。
何に怯えて、何に躊躇って、何に悩んでいるのかも、到底俺には理解出来ないだろう梶原の思考回路。
「そ、か。」
せやのにそんな顔すんのはなんでやねん。
また無理に笑ったその顔にイラついてしまう自分の本心を抑え付けた。
イライラする。
「梶原ー、部活行こやー。」
また前川。
「あ、うん。・・・ほなまた明日な。」
机をこんとノックしたその手を握り締めて引き寄せたくなる。
俺を拒絶するくせに。
おもんない。くそ。
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