アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
同化欲求 その4
-
そんな奴が騒ぎをうるさそうに一瞥し、着ていたカッターシャツのボタンだけを外してロッカーに向かいながらこそこそと体操服を上から被る様は、まるで何かを隠すように見えた。誰もが気にしないその光景だが俺はその時なぜだか妙に気になって、騒ぎを笑いながらも目を逸らさなかった。
体操服が全身を覆う直前にシャツが床に落ちて見えた、一瞬の赤い痕。
へぇ・・・意外。
あの梶原がねぇ。
・・・・・・おもろいもん見たわ。
アホ学校の緩い体育時間はぐだぐだと体を休める事に最適すぎる。担当教員にしても力を入れて授業しているようには思えない態度。それどころか生徒と一緒に参加してバレーをしている始末。
いつものように適当に分かれたバレーチーム。
光が差し込み、埃がきらきらと空間を舞うのをわーキレイ、と見ていた休憩中。
他のチームの試合をぼんやりと眺める同じチームになった梶原の隣を確保してうつ伏せに寝転んだ。
「彼女おんの?」
急になんや、と言わんばかりの刹那の視線はすでにまたコートへと戻される。
「おらへん。」
ほぉーーーーん・・・。
「ほんなら意外とお盛んなんやなー、お前。」
何を言いたいのか分からないというように眉間に皺を寄せて今度は視線を寄越した。
「強烈なエロい模様がありますがな、体中に。」
ぎょっとしたかと思えばすかさず首元をバチンと押さえるが、いやいや、そこは見えていない。
どんだけ焦ってんの。おもろー。
おそらくそのすぐ下にあるのは明白で、俺はなんだかすごく面白いものを見つけたように顔を上げた。
その後俯いて首まで真っ赤にした梶原に興味が沸く。
あれ?冴えない君?
・・・こんな色っぽい奴やったっけ?
意識した途端に色付いた目で見てしまう。見えてしまう、が正しいかもしれない。
「セフレいんの?」
「・・・ちゃう。」
「ちゃう、てお前。・・・じゃあこれ何よ?」
座る梶原の横で寝転ぶ俺の視線にちょうどの高さだった体操服の裾を軽く捲り覗くと、先ほど見えた痕よりも多い情事の痕跡。捲った俺の驚きを超えて慌てた梶原が手を弾くようにそれを隠す。
「なんもないッ。」
「なんもないて、」
いやいや何言うてんの、とか、相手誰ー?とか、言おうと思っていたのに、俺は思わず口を噤んだ。
泳ぐ視線に裾を握り締めた手。震える睫毛に何も言わず噛み締めた唇。
梶原の焦りが手に取るように分かる。
恥ずかしそうに俯くその表情にイケナイ加虐心をくすぐられた。
なんか・・・抱けそ。
いや、瞬間的に思ただけやけど。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
100 / 116