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睡眠ライブ 1
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寮はわりと綺麗に保たれているが、部屋の造りがどうにも気に入らない。
リビングも洗面所も全部一部屋に一つしかないため、二人兼用で使わなければならないのだ。シェアルームみたいな感覚に近い。
元来、他人と距離が近いのに耐えられない俺は、一日で既にストレスが溜まっていた。
窓から差し込む明るすぎる日差しに目をさされ、俺は布団から抜け出した。
昨夜あまり寝付けなかったせいか、瞼が重い。
目元を手で覆いながらベッドに備え付けられた階段をのろのろと下り、窓のカーテンを閉めた。
ちなみに、ベッドの上段はこれまで使ってこなかったらしいが、全く信用ならないので今度丸洗いする予定だ。
時刻はまだ5時だった。始業時間まではまだ三時間もある。
しかし一度目が冴えたらもう眠れない。最悪だ。
仕方がないので、とりあえず顔でも洗おうと洗面所へ向かった。
蛇口から流れる冷水を手で掬い、顔にかけていく。水を止めた。顎から雫が滴り落ちる。
ふと顔を上げれば、鏡に見慣れた若い男の顔が映っていた。
肌は不健康なほど白く、線が細い。顔のつくりは、どこからどう見ても男らしくはない、女顔。
朝から貧相な顔を見て気分が悪くなった俺は、鏡を叩き割りたい衝動に駆られ、顔ごと視線を逸らした。
やる事を済ませて足早にリビングへ戻ったところで、ちょうど瀬良が起きてきた。
寝癖のついた髪をかき上げ、俺を見るなりにっこり笑う。
「おはよ。早いねー。何時から起きてるの?」
特に返事は返さず準備に取り掛かれば、「無視ー?酷い酷いひどいー。寂しいよー。寂しくて死んじゃうよー」うざ絡みしてきた。お前は兎かよ。
「…………おはようございます」
あまりに煩いので、顔は上げないまま挨拶だけしておく。視界の端で、何が楽しいのかニヤニヤ笑みを浮かべる瀬良が見えた。何故だか無条件に苛つく。
「もう少ししたら、食堂に行こうよ」
この学校の寮には、朝食と夕食が付いている。
確か、朝は6時から、夜は18時から食堂が開くはずだ。寮代に含まれているので、料金は一々払う必要はない。
かなり好待遇だとは思うが、俺には関係ない。
「結構です」
「え、朝食食べないの?」
「水か何かで済ませるので」
「そんな風だからガリガリなんだよ。もっと食べないと!」
「余計なお世話です」
第一、朝食をとるにしろ、人が大勢いる中で食べるなどまっぴらごめんだ。
愛想のない声で突き放しても、瀬良は懲りずに俺の腕を引っ張ってくる。
「えー行こうよー。ねぇ紫樹君」
俺はへらりと笑う瀬良を冷たく一瞥して答えた。
「名前で呼ばないでもらえますか」
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