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とはいえ、本当に鍵を掛けず扉を開け放したまま出掛けたりはしない。
しかし山田には目隠しをしてあり、しかも自由がきかぬように両腕を拘束してあるから本当に玄関の扉が開け放してあるのかどうか、ヤツにその真偽を確認する術はない。
慎重に慎重を期して音が出ないように扉を閉め、鍵を掛ける。
「………はぁ~」
そこまでしたところで俺は一気に脱力し、重苦しいため息と共にその場にしゃがみこむ………きっと今のこの姿をご近所さんが見たなら間違いなく俺は「変な人」の烙印を押されることだろう。
だがしかし、山田によって蓄積された俺の精神的疲労の色は濃く、しかも昨日とは違って山田から無事逃れられたことで俺の張り詰めた緊張の糸は見事プツリと切れてしまって、なかなか立ち上がり動き出すことが出来なかった。
………………いつまでも、ここにこうしてしゃがんでいても仕方がない。
「ふぅ………」
大きく息を一つ吐いて勢い良く立ち上がると俺はなるだけ足音を立てないように歩き出す。
そしてマンションを出て大通りまで行くと右手を挙げタクシーを拾って乗り込む。
目的の最寄りのホームセンターの名前を出すと愛想の悪いタクシーの運転手は返事もそこそこに車を発進させた。
普段ならタクシーなど使わないのだが、会社をズル休みしている手前今日ばかりは人目につきたくなくて、無駄な出費ではあるがどうせ山田のお金を使うのだからと気にはしない。
近い距離であまりメーターの上がらなかった料金を運転手に払い、タクシーを降りてホームセンターに入ると手早く目当てのものを買い物カゴの中へ次々と放り込む。
この際だからと枕カバーから敷き布団に掛け布団、それからカバーの替えをそれぞれ2種類ずつ買うことにした。
平日だというのにそこそこ客で賑わっていて行列の出来ているレジへと並び、お会計を済ませる。
なんとかギリギリ山田の財布から抜いてきた金額内でおさまったのだが、帰りのタクシーの料金が足りなくなってしまった………帰って足りなかった分まで山田の財布からキッチリ抜くかと考えて、それはあんまりかとその考えを改める。
ひとまず帰ろう………きっとこれに懲りて山田も少しは大人しく………というか、俺につきまとうことを止めるだろうと思った。
まあ、生粋の変態である山田がこれしきのことで大人しくなるなんて事は決してないのだが、この時の俺はそう信じて疑わなかった。
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