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35 焦らされて………
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蓮根のきんぴらに玉子焼き………山田にはベーコンエッグを作ってやる。
それに味噌汁と炊きたての白いご飯。
「おい、出来たぞ。さっさと食え」
出来た料理を食卓に並べながら、まだベッドの上でごろごろしている山田に声を掛ける。
「はーい」
山田は気の抜ける間延びした声でそう答えると、のそのそと起き上がり椅子に座った。
「いただきます。てか、センパイ俺がリクエストしたのはベーコンエッグじゃなくてポーチドエッ………」
「うるさい、黙って食え」
ふざけた事を抜かす山田の話をぶったぎるのが、なんだかすっかり板についてきたような気がして………その苦々しい思いを飲み込むように味噌汁をすすった。
「………ほんと、この料理くらい繊細に僕の事も扱って欲しいもんです」
思わぬ山田の言葉に、俺は思い切り噎せてしまう。
「………っ、なっ………何、何だ?」
すると思い切り顔をしかめた山田に、
「センパイ、食事くらい落ち着いて食べましょう?」
と、年上なのに子供みたいに諭されてしまう。
「………わりぃ」
不本意極まりないが、一応謝る。
そうしてチラッと山田に視線を向けるとピンッと背筋を伸ばし、少量ずつ口に入れきちんと咀嚼して………そうして食事をする山田の所作は、美しくすらある。
しばらくじっと無意識に見ていたらしく、山田に、
「センパイ、早く食べないと遅刻しますよ」
と、眉を寄せこちらに視線を送ることもなく言われてしまった。
ここで漸く自分が山田に見惚れていたことを自覚し、ハッとする。
………いかん、いかん。
一体、自分は何を………………………。
慌てて掻き込むようにして食事を開始し、またチラッと山田を覗き見る。
「………はぁ」
すると思わず溢れ出た嘆息に苦笑し、黙っていれば山田は男の癖に男の俺が見惚れる程には綺麗なのだと再認識してしまった。
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