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その場に茫然と立ち尽くし、項垂れる。
別にショックなんか受けているわけでは………いや、本心を偽るのは止そう。
ショックだった。
何故、こんなに自分がショックを受けているのかはわからない。
………わかりたくもない。
ただ、酷く厭な気分だった。
吐き気がする………ムカムカと、そして気持ちは沈んで………ああ、もう………頭が混乱して考えがまとまらない。
顔を上げ、山田が立ち去った方に視線を向ける………。
当然、そこに山田が居るわけもなく………。
「………クソ野郎っ」
激情のままに握った拳で壁を殴って………それから、腕時計で時間を確認すると朝礼まではまだ15分程あった。
「チッ………」
舌打ちをして、俺は自販機へ向かうことにした。
山田に、会いたくない。
昨日まであんなにチラチラと眺めていた、あの整った涼やかな顔を見たくない。
同じ職場で机を並べて仕事をしているのだ………どんなにアイツの顔を見たくなくとも嫌でも視界に入ってしまう。
それはわかっている。
仕方がない………だけど………嫌なものは、嫌だった。
「………はぁ」
ギリギリまで、山田の顔を見なくて済むように………俺は財布を持ってきていないせいで何も買う事が出来ない自販機の前で、ぼーっと時間を潰した。
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