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「いつまでもそんな所に突っ立ってないで、早くソファーにでも座ったらどうです?」
「あ、あぁ………」
促されるままに俺は山田の言う通りにソファーに座る。
ふかふかの大きなソファーは最高の座り心地で、それと同じくらいなんとなく居心地が悪かった。
落ち着かない。
悲しいかな………ここへ来て自分がいかに小市民であるかを実感した気がした。
………とはいえ、このまま萎縮して何もせずに帰るわけにはいかない。
意を決して、俺はすっと立ち上がる。
そのまま足早に山田の元へと駆け寄り、なんとか自分を奮い立たせ、勢いに任せて………俺はもうほとんど自棄になってキッチンに立ち俺の為に飲み物やなんかを準備しようとしてくれていた山田を押し倒した。
「ふふ………今日はまた、えらく積極的じゃないですか?センパイ」
こっちはこんなにテンパって、いっぱいいっぱいだっていうのに、余裕綽々といった様子で笑うコイツはやっぱり生意気で、可愛いげがないと思った。
「うるせぇよ。ちったぁビビるなり可愛いげのある素振りを見せたらどーだ」
山田を押し倒して、馬乗りになって身動きがとれないように組み敷いた状態で見下ろして………どう考えたって主導権を握って優位に立っているのは俺の筈なのに、どうしてこんな追い詰められた小動物のような気分になるのだろう。
俺の呼吸は緊張から浅く乱れ、対する山田は落ち着き払って笑顔を浮かべている。
「お前って、ほんっとにムカつく」
絞り出すようにそう言って、ほっそりとした山田の長い首筋に赤く色づく他人のしるしに俺は思いきり歯を突き立てた。
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