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「センパイ、僕の事好き?」
目を細め、口の端をクッと上へ持ち上げてニヤリと笑う山田。
「………っ」
その言葉に、返事に、俺は葛藤し胸を締め付けられる。
「好き………大好き」
でも、結局は素直に自分の気持ちがポロッと溢れて………あぁ、自分はやっぱりコイツが好きなんだなって、妙に冷静に納得してる自分が居たりして。
求めていた言葉が返ってきて満足、みたいな顔でほくそ笑む山田が憎らしい。
「キス、しましょうか」
「っ………」
俺の返事なんか聞かずに、山田は唇を軽く触れ合わせる。
「センパイとセックスするのは、今日限り。だから、最後くらいセンパイの望みを叶えてあげます………ヘドが出そうなくらいの甘い甘い恋人同士みたいなセックス、しましょう?」
目の前、すぐ近くにある山田の整ったキレイな顔。
昔見た美術の彫刻の天使みたいな顔をして、本当にコイツは酷い事ばっかり言いやがる。
「なんで………っ」
自分でも何を言うつもりだったのかは分からない。
分からないけれど、何かを発しようとした俺の口は山田によって塞がれ、蹂躙される。
つーっとお互いの唾液が細く糸をひき、尖らせた舌先の先端が容赦なく口腔をねぶり回す。
舌をだらしなく垂らして、俺の唇から山田が離れた。
男の癖に、本当に………なんでこんな、淫靡で妖艶な男をその気にさせる色香を放つのか。
「センパイ………アイシテル」
耳元で、山田が俺に甘い毒を囁きかける。
「アイシテル………今だけは、僕はアナタの恋人。ダイスキですよ、センパイ」
これは、きっと猛毒だ。
知らぬ間に一気に全身を駆け巡り、気付いた時にはもう手の打ちようがない。
「山田………」
一筋、俺の頬に涙が伝う。
それは俺のものなのか、それともコイツの………。
ズクン、とその薄っぺらなその愛の言葉で単純な俺の体は再び熱を持ち疼いてくる。
「アイシテル………」
繰り返される愛の言葉。
だけど、なんでだろう。
山田がそれを口にする度、俺の心は暗く沈んだ。
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