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1‐1~事の始まり
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及川は、飲み会で遅くなる、と言っていた。
高校時代のバレー部の仲間が上京してくるからOB会もどきだ、と笑っていた。
あんまり酒が強くないんだから飲み過ぎるなよ、と菅原はクギを刺した。普段から酔ってるような、調子のいいヤツなんだから、と付け加えると、酷いなっ、と及川は笑った。
その及川は、酔い潰れて帰って来た。しかも、大学まで一緒の幼なじみの岩泉に連れられて。
「悪い、菅原……飲ませ過ぎた」
正体のない及川に肩を貸して現れた岩泉は、玄関先で謝った。
「ああ、もう!こっちこそ悪いな、岩泉……部屋に上げてもらって良いか?……ほら、及川!しっかり歩けって!」
「んー………スガちゃん?どしたのー?スガちゃん何でそんなに沢山いるのー?あれー?」
「何、言ってんだよ。……たく、しょうがねーヤツだなぁ!」
岩泉と一緒に肩を貸して及川をベッドに寝かせる。
「やー!スガちゃん一緒にー!!及川さんさみしーよ?ねーーーねーーー?」
ベタベタと菅原に触りながら及川がはしゃぐ。
「こら、やめろ。……ベロベロだなー。ほら、服を脱いで!たく、もーっ!」
菅原が甲斐甲斐しく、幼なじみの支度を解くのを見ながら、岩泉は声を掛ける。
「こいつ、いつも こんななのか?」
「あー……うん。あんまり強くないだろ、酒?普段はホロ酔い程度なんだけど……。今日は昔の仲間と一緒で気が弛んだかな?ただでさえ甘えたがりなのにさ。飲むと助長されるな!」
文句を言いながらも、菅原は満足げに笑う。
ああ。やっぱりこいつらは幸せに暮らしてるんだ、と岩泉は苦く考える。
「スガちゃんーー………ありがとねー…………スガちゃんーーー………好きだよー………」
及川は、目を開けていられないくらい睡魔に囚われているようなのに、口ばかりが よく動く。
スガちゃん、と繰り返しながら、やがて、寝息へ変わっていった。
「ふう。手の掛かる……岩泉、悪かったな。お茶でも飲んでくか?」
「ん?……ああ、そうだな。……貰っていいか?」
?珍しいな。いつもは断るのに
と、思いながら、菅原は湯を沸かしにキッチンへ向かう。そうは言っても、午前0時を間もなく回る。
コーヒーで良いのかな、と思いつつ簡易式のドリップコーヒーを用意する。
2人分のカップを持って、ダイニングのソファーに座っている岩泉の元に行く。
「もう終電に間に合わないよな?泊まっていくだろ?」
菅原がカップをテーブルに置いて、岩泉に尋ねる。
「ああ……悪いが、そうさせてくれ」
岩泉は、いただきます、と小さく言ってカップに口を付ける。そして、旨い、と目を細める。
そんな岩泉の笑顔に、菅原の胸の奥がチクと疼く。
昔、この男に焦がれた想いが、ちろ、と顔を覗かせるのを押さえ込む。
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