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ピチピチと小鳥のさえずりが聞こえて、僕はうっすら目を開いた。
時計には6:05の文字。
早すぎず遅すぎない、自分なりにいい時間に起きれたと思う。
制服に腕を通し、昨日の夜に準備しておいたカバンを持ってリビングに降りると、お母さんが朝ごはんを作って待っていてくれた。
「おはよう。朝早くからありがとう」
「おはよう。お母さんも若い頃はマネージャーしてたし、広翼にもいいマネージャーになってほしいわ。はい、これ今日のお弁当ね」
お母さんに手渡されたのは、少し細身の形をしたお弁当箱。
れーくんには小さいって言われるけど、運動をしていない僕からすれば、このくらいが丁度いい。
赤、緑、黄色とカラフルに彩られた中身に顔が綻ぶ。
僕もこんな綺麗なお弁当、いつかれーくんに作ってあげたいな…、なんて。
「あら。広翼、今日雨降るかもしれないって。折り畳み傘持って行っておきなさいね」
「え?わかった」
どうやらニュース番組の天気予報では、午後から雨の予報らしい。
僕が折り畳み傘を用意しに玄関へ向かうと、窓かられーくんが歩いてくる姿が見えた。
「あ、れーくんだ!お母さん、もう僕行くね!」
「はいはい。行ってらっしゃい」
急いで玄関の扉を開けると、れーくんがちょうど家のインターホンを押すところだった。
「おはよ!」
「おはよう。今日は早く起きれたんだね、偉い」
れーくんに近付くと、大きな手がフワッと僕の髪に触れた。
そして、首にかけていただけの僕のネクタイを、シュルシュルと簡単そうに結んでくれた。
「行こうか」
その声を合図に、僕たちは学校へ向かって歩みを進めた。
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