アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2-5
-
れーくんは僕の方をチラッと見て、『ちょっと待って』と口を動かした。
よかった。忘れられてなかった。
ホッとしたのも束の間、先輩のターゲットは僕に向いた。
「あら!海堂くんのお友達、待たせてしまっているのかしら?ごめんなさい」
「あぁ、そうなんです。雨ですし待たせたくないので俺はそろそろ…」
「とっても可愛らしいわね!あなた、甘いものはお好きかしら?海堂くんがもらってくれないし、よかったら是非」
「あの、工藤先輩…」
「え!名前覚えててくださったの?!嬉しい!」
「わぁ!」
騒がしい人だ。
僕に話しかけてきたと思ったら、れーくんに名前を呼ばれてすぐにれーくんの方へ反応した。
…………というか。
「先輩…、あの、手離してください…」
「あっ…、ごめんなさいね、私ったら……」
工藤先輩は傘を手放し、嬉しそうにれーくんの手を両手で握っていた。
れーくんは嫌そうなのに、やっぱりモヤモヤする。
僕はれーくんの服の裾を少し掴んだ。
「先輩、俺もう帰るので。お礼は頂けません。雨の中待ってくださってたのにすみませんでした。失礼します。……………広翼、帰るよ」
服の裾をつかんでいた僕の手をぎゅっと握り、れーくんは僕の手を引いて門を出た。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
33 / 377